報告を受けた電話口のAさんの沈黙とため息から、深い落胆が伝わってきた。
その翌日も調査は続いた。
三日目、四日目は何事もなく過ぎたものの、五日目の金曜日、彼女は再び火曜と同じ時刻に家を出て、同じショッピングセンターへと向かい、同じホテルへ入った。
ただ一つあの日と違うのは、連れの男。
彼女は、二人の男と浮気をしていたのだ。
単刀直入にAさんにそれを告げると、彼は事態が飲み込めず、パニックに陥っているようだった。
依頼主の目を持ち、依頼主の気持ちに寄り添って調査を代行する我々探偵にとって、最もつらい瞬間である。
しかし、ここで留まるわけにはいかない。
翌週月曜、彼女は再び第一の男と会い、翌々日にはなんと第三の男とホテルへ向かった。
仕事柄、人には言えない様々な秘密を垣間見ることは多い。
しかしどこにでもいる普通の主婦が、同時に3人の男と関係を持っていることには驚きを禁じえなかった。ここで調査は終了。
後日聞いたところによると、妻は出会い系で3人の男と出会い、それぞれと密会を重ねていた。
しかしいずれの相手も本気ではなく、話し合いの場でも「もう一度、チャンスが欲しい」と懇願したという。
しかし、彼は妻を許すことはできず、二カ月後に離婚成立。
小学生の子どもを二人抱える、シングルファザーとなった。
直視したくない事実を受け止め前へ進んだAさんが、一日も早く新しい幸せを掴むことを、心から願ってやまない。
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※ご本人の了承を得て記載。年齢、背景などは変えています。
※記事は弊社への取材をもとに掲載された「あるた出版のオトン連載 探偵物語」より抜粋したものです。
