「妻の素行を調べてほしい」。40代男性は、震える声でそう言った。
「うちの妻が浮気しているかどうか、はっきりさせたいんです」。
その電話が入ったのは、昨年の秋頃だった。
依頼主は2人の小学生の子を持つ、40代男性Aさん。
声の震えから、かなり緊張している様子が伝わってきた。
近頃は、妻の浮気を疑っている男性からの相談も、めずらしくない。
この時もいつものように、疑いを持った経緯、妻の普段の行動パターン、乗っている車の特徴、浮気の事実が発覚してしまった場合の、その後の身の振り方などを、つぶさに聞き取った。
以前はどこにでも置いていた携帯を、最近では一瞬たりとも手放さない。
去年あたりから「友人と飲みに行く」といって出かける回数が増えた。
妻の車から見慣れないガソリンスタンドのレシートが見つかった。
そして、下着が急に派手になった。
Aさんが挙げたこれらの「怪しい理由」は、浮気調査においては、かなり「クロ」の可能性を高める証言。
しかし、偶然が重なっただけということも否定はできない。
何よりAさん本人が、自分の思い過ごしであることを心の底で望んでいるようだった。
そしてすぐに、10日間にわたる浮気調査が始まった。(つづく)
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※ご本人の了承を得て記載。年齢、背景などは変えています。
※記事は弊社への取材をもとに掲載された「あるた出版のオトン連載 探偵物語」より抜粋したものです。