依頼主は、妻の浮気を疑う40代男性のAさん。
妻のパート先に張り込んだ調査初日の結果は、純然たるシロだった。
しかしその翌日、Aさん本人、そして調査を請け負う私にとっても、起きてほしくない事実と、向き合わざるを得ない状況に。
調査二日目、火曜日。
夫であるAさんには「パートに行く」と伝え、朝10時に家を出た。
ちなみに、妻は仕事のある日は、8時半に家を出るのが通常。
この時点ですでに何か怪しい。
私たち調査チームが尾行する彼女の車が向かった先は、いつもの仕事場ではなく市内の大型ショッピングセンターだった。
おそらく彼女は買い物のために寄ったのではないだろう。限りなくクロに近い展開。
私は経験からそう悟った。なぜなら大型ショッピングセンターやパチンコ店の広い駐車場は、人目を忍んで逢瀬を重ねる男女の、格好の待ち合わせ場所だからだ。
携帯で話しながら車を降りてきた彼女は、30mほど先に停まっていた黒のワンボックスカーへと乗り込んだ。
そして車はすぐに発進。私たちも後に続き、車を走らせる。
たどり着いたのは、郊外のラブホテルだった。
車を降り、肩を寄せ合うようにして入り口へと進む二人の写真を撮影する。
残念ながら、事実は事実として依頼主に伝えなければならない。(つづく)
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※ご本人の了承を得て記載。年齢、背景などは変えています。
※記事は弊社への取材をもとに掲載された「あるた出版のオトン連載 探偵物語」より抜粋したものです。