1.尾行のコツ
探偵を扱うドラマや小説には尾行がつきものですが、実際の探偵ももちろん尾行します。決定的瞬間をカメラに収めるため、車の中で何時間も張り込んだり、調査対象者を追って同じ電車で移動したり、まさに映画さながらの調査を日夜行っているのです。役に立つかどうかはわかりませんが、読んでくださっているあなたに、とっておきの尾行のコツをお教えしましょう。尾行の際には、相手を見失わないように雑踏の中必死でついていきますが、そのとき、相手の靴を目がけてついていくことが大切です。なぜ頭ではいけないかというと、万が一振り返った場合、目が合ってしまうことを避けるためです。視線が合うと顔を覚えられてしまう可能性が高くなり、その後の行動に制約が生まれてしまいます。また、後ろにぴったりとついていくのではなく、車道を挟んで反対側の歩道を歩き、遠目に追いかけていくという方法もよく使います。電車の中では相手の位置を目の端で常に意識しつつも、怪しまれないようスマホを見ることもよくある手法。ただ、停車駅では必ずしっかりと相手の行動を見て、急に降車してもすぐに追いかけられるよう意識を張り巡らします。2.音楽というコミュニケーション
実は私は音楽大学の出身で、音楽は大切なライフワークになっています。他人と一つになってハーモニーを作り出す音楽には、まわりの人への気遣いや気配を読む力が欠かせません。音楽は便利な日常の言葉を用いることができない分、より高度なコミュニケーションの手段でもあります。音楽と探偵とは一見何の関係もないようですが、気配を読む力とコミュニケーション能力が必要なところは、案外近しいものなのかもしれません。ちなみに音楽大学の学生には、異様に勘が鋭かったり、見えないものが見えたりと、不思議な力を持つ人も少なくありませんでした。私にもそのような霊感めいたものがあれば、もっと調査もラクできるかもしれませんが(笑)、残念ながらその能力は持ち合わせていないので、地道に頑張るしかないようです。3.やってみればどうってことない
最近東京に行ったときに、生まれて初めてしたことがあります。それは電車の中で席を譲ること。「そんなこともできなかったの?」と呆れられるかもしれませんが、男の私にはなんとなく気恥ずかしく、なかなか勇気が出ませんでした。普段、あまり込み合った電車に乗ることが少ないせいもあるかもしれませんが、譲った方がいいかな、とまごついている間にタイミングを逸してしまうこともしばしば。ところがその日はなぜか、気が付いたら電車に乗ってきた老夫婦に、座りませんかと声をかけていました。小さなことではありますが、人に親切を受け入れられたときにはとても気持ちがいいもの。しばらく一人席譲りキャンペーンを実施しようかとひそかに考えています。